メディアの及ぼす影響 〜自殺報道について〜
必修科目の未履修や自殺の問題で、学校教育の制度や風土に対する批判のようなものが出ている。
教育については、いろいろと考えるところもあるが、今日はそれを報道するメディアの方について一言。
特に自殺の問題について。
10代の自殺者数は、国内全体の自殺者数の増加と共に、近年増加傾向にある。


いじめの発生件数は95年をピークに減少をしており、いじめによる自殺が増加しているとは言えないが、10代の自殺者数は1990年頃を境に増加している。

このような状況で、自殺の問題が取り上げられること自体は、必要なことであると思う。しかし、その報道の仕方に問題がある。
「自殺を予防する自殺事例報道のあり方について」のWHO勧告(1999年) というものがある。(詳細はライフリンクHP )
これによると、自殺報道は自殺を防ぐことに主眼が置き、興味本位でいたずらに不安をあおったり、自殺を促進させるような報道は避けるべきである、ということが主張されている。そのため、遺書や写真、自殺手段は公表は避けるべきだという主張である。
現在のマスコミの報道を見ていると、この勧告内容とは正反対のことを行っている。
マスコミは、他者を批判したり、犯人探しのようなことをしている。それはもしかしたら(多くの)視聴者の側が求めていることかもしれない。
けれど、その報道によって及ぶ影響について、自覚があるのだろうか。
つまり、このような場合、自殺報道をすることによって自殺者が増加するかもしれないというリスクに対する認識はあるのだろうか。
このような自覚がなかったら困るが、自覚があるにも関わらずこのような報道を続けているとしたら、その方が問題である。
マスコミの報道を見ても、いたずらに不安を煽ったり、一時的なガス抜きを行ったりしているだけで、事実は何もわからない。
このようなマスコミは自然に淘汰されるのか、それともこのようなマスコミに対するニーズはあり続けるのか。
これは、報道を享受する側の民度にもよるかもしれない。
−関連する当ブログの過去記事はコチラ−
−データ引用−
■10代の自殺者数:リンク
■いじめ発生件数:リンク
■10代人口の推移:リンク
